「歯がしみる」「痛い」などという症状で気付く虫歯。プラークに棲みつく虫歯菌が食べ物に含まれる糖分をエサにして酸を出し、その酸が歯を溶かしていくことによって発症します。初期には自覚症状がないため、このような症状に気付いたときには、すでにかなり進行してしまっている可能性があります。
虫歯は初期であれば簡単な治療で済みますが、進行すればするほど治療が難しくなり、放置すると最終的には抜歯しなくてはならなくなってしまいます。症状や治療による痛みを軽減し、大切な歯を守るために、なんらかの症状に気付いたらできるだけ早くご来院ください。
虫歯は、次の4つの原因が重なり合って発症します。
1. 虫歯菌 | 2. 糖分 | 3. 歯質 | 4. 時間 |
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虫歯の直接的な原因は、プラークに棲む虫歯菌です。 |
虫歯菌が食べ物に含まれる糖分をエサとし、酸を出します。 |
歯質が弱いと、酸に溶けやすくなります。※歯質は元々弱かったり、病気やお薬の影響によって弱くなったりすることがあります。 |
食後30分ほど経過すると、虫歯菌が活発に動き出します。 |
虫歯を予防するにはこれらの原因をしっかり理解し、甘い食べ物を控える、食後にはすぐブラッシングをするなど、原因の排除を心がけることが大切なのです。
虫歯は、次の4つの原因が重なり合って発症します。
進行段階 | 症状 | 治療法 |
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C0 |
歯の表面のエナメル質が溶けはじめ、白く濁っている状態。まだ歯に穴はあいておらず、痛みなどの自覚症状はありません。 | 適切なブラッシングやフッ素塗布で治ることがあります。 |
C1 |
エナメル質がさらに溶け、黒ずんでいる状態。冷たい物がしみることがありますが、まだ痛みはありません。 | 虫歯に冒された部分を削り、レジン(歯科用プラスチック)を詰めて治療します。 |
C2 |
エナメル質の内側にある象牙質まで虫歯が進行した状態。冷たい物や甘い物がしみるようになり、ときどき痛むこともあります。 | 虫歯に冒された部分を削り、インレー、またはレジン(詰め物)で補います。 |
C3 |
神経まで虫歯が進行した状態。熱い物がしみるようになるほか、何もしていなくてもズキズキと激しく痛むようになります。 | 神経を除去し、神経が入っていた管(根管)の内部を消毒して薬剤を詰める根管治療を行い、クラウン(被せ物)を被せます。 |
C4 |
歯の大部分が溶けてなくなり、歯根まで虫歯に冒された状態。痛みはなくなりますが、歯根部に膿が溜まると再び痛みが出ます。 | 多くの場合、抜歯が必要です。抜歯後、入れ歯などで失った歯の機能の回復を図ります。 |
「歯がしみる」「痛い」という症状があっても、必ずしも虫歯というわけではありません。虫歯でない場合には、「知覚過敏」の可能性があります。
知覚過敏とは、歯周病や咬み合わせの乱れ、また歯ぎしりなどの影響によって、歯の表面のエナメル質が削れたり、歯ぐきが下がったりすることで、歯の内側の象牙質が露出して起こる症状。象牙質は神経に近いため、冷たい物などによる刺激が伝わりやすくなってしまうのです。
知覚過敏は、適切な治療によって改善することができます。歯が痛むときやしみるときはがまんせず、お気軽にご相談ください。
虫歯は風邪などと違って、「少し様子を見ているうちに治ってしまった」ということは絶対にない病気です。放っておくと症状は悪化する一方であり、どんどん痛みを増して歯は溶かされてしまいます。
虫歯の治療は、何より早めが肝心。少しでも異変に気付いたら、すぐにご来院ください。
虫歯が重度にまで進行し、神経にまで達してしまうと、「根管(こんかん)治療」という神経の治療が必要になります。重度の虫歯を放っておくと、その歯はいずれ抜歯しなくてはなりませんが、根管治療を行うことで歯を残すことができるのです。
根管治療とは、歯の中を通る「根管」から、虫歯菌に冒されてしまった神経や血管を取り除き、根管内をキレイに洗浄・殺菌して、すき間なく薬剤を詰める治療です。肉眼では見えない細く複雑な形状をした根管を扱うため、大変難しい治療となりますが、この治療を確実に行うことによって重度の虫歯も抜かずに残すことができるのです。
根管治療がしっかりできていないと、その上にいくら立派な被せ物をしても、その歯を長持ちさせることはできません。そのため根管治療は、「歯の基礎工事」と呼ばれる重要な治療なのです。
根管の中から、死んでしまった歯の神経や血管を取り除きます。 | 根管内を洗浄・殺菌・消毒します。 |
根管内に、薬剤をすき間なく充填します。 | 上部に被せ物をし、治療は完了です。 |
根管治療は重度の虫歯を残すことができる優れた治療ですが、歯から神経を取り除くことには次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
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できれば根管治療が必要となるまで虫歯を悪化させることがないよう、早期発見・早期治療に努めましょう。